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山の写真


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復興した気仙沼を見下ろす山にて

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焼岳から穂高、槍


山の写真 
その時々の自然の有様を切り取った写真には、気の遠くなるような年月がこつこつと作り上げ、今なお進行形である造形物と、その時偶然に現れる光と大気の輝きから生まれる色彩の妙が写し込まれている。
その一瞬の風景を心に刻み、持ち帰る事は山登りの大きな喜びのひとつであるが、私はそんな風景の中に、共に居合わせた人の姿を求めたい。
人は風景ではない。
人のいる風景は、そのときの鮮やかな自然の様を思い起こすのではなく、自分や人の気持ちの中にまで入り込んで、その風景を眺めているのだ。
氷の谷の風景、その中の人の姿は、その場で共有した危険や感動が写し込まれている。風景の写真が美しさや自然への畏敬の念なら、人の居る風景は人の思いを雄弁に語り始める気持ちそのものだ。 

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朝の天幕場; 雷鳥平

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エビのしっぽ:白馬


続山の写真
自然の大きさの中で人がどれだけ卑小な存在であるかを表したいので、写真を撮るときはいつも山と自然の中に人を置いてみる。
そこでは人の存在が自然に負けた様や形の大きさを比較するのではなく、人が如何に謙虚でなければならないかを伝えると同時に、人の存在が自然に負けないように工夫してみたりする。
その場のひんやりとした空気や陽射しの中の柔らかな風、雨に濡れた湿気た様。
そんな風景の様子は時には自分の感性以上にカメラが性能良く写し出してくれる。
だが、人は岩や木々のように無機質ではない。
山に対する畏敬の念や愛の深さ、辿ってきた経験の重み、それらが仕草や佇まいに宿っている。
自然に向かう姿勢が言葉にしなくても伝わってくる。
いかにもちっぽけだが、そこに立つ人の存在のあり方が、胸を締め付けるような風景写真を撮りたい。   


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錦秋の岩峰

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落ち葉の造形

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谷間にて

写真 
写真が好きである。
20代の頃は北海道でしか見ることの出来ない花の写真を撮りに山をひとりで巡り歩いた。
図鑑でしか見たことのない花と出会ったときはファインダーを覗きながらうれしさにふるえた。
今なら誰よりも優しくなれると思った。
花は山となり自然そのものとなった。
山を歩きながら自然の刹那を切り取る写真にはその時の自分の思いが込められている。そんな中に、雲間に青空だけの写真がある。
悪天続きの3泊4日の山行の中でただ1度シャッターを押した、
それが唯一、雲が流れ一瞬覗いた青空だった。
青空だ>、そんな叫びが1枚の写真になった。
今年になって写真が撮れない山行が2回続いた。
何も見えない悪天の日々であるが、それでも何かしらは撮れるはずであった。
写真が1枚もない山、だからといって記憶に残らない山ではない。
風雪の中で写真では表せない形のないものが残った。
写真以上に気持ちに残る場面は多い。
だからこそ、自然の中でファインダーを覗く時、
その時の気持ちを大切した思いの伝わる写真でありたい。     

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雨飾山P2尾根

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眼下の黒部湖


山の風景 
 12月初旬、まだ早いかな、と思っていたのに、房総の水仙は咲いていた。
1年を巡って再び見ることの出来た妻の形見のような風景に時の流れの重さを感じる。太宰治の「水仙」の花の絵の謎解きでは、答えは読者に託された。
山登りで感じる不思議な感慨、ため息の出るような場面でも、何故というその答えは、時の経過に託されてゆくに違いない。
五感で感じる山での体験は全てが謎解きなのかも知れない。
40年も前の白黒写真と今この時の写真を見比べても山そのももの風景は少しも変わらない。
山を背景に写った人の姿がなかったらその時を検証し語るすべはない。
人の存在がその時を知らせている。
服装や装備の違い、人とのつながり、歴史の詰まった1枚は人の存在なしでは語れないのだ。標識、山小屋、登山道、全ての人工物は時を背負って写っている。
40年後に同じ風景の中で同じ人たちと写っていたとしたら、それは奇蹟に近いことだけど、その人たちが共に過ごした時は、きっと素敵に爽やかに幸せに流れていたに違いない。


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赤い沢床

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雪稜
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プロフィール

bunatoiwana69

Author:bunatoiwana69
山のソナタ集へようこそ!
19の時から山登りを始めて現在75歳。
東京の京橋に生まれ、都会に育ちながらも山の自然に憧れる。
脇目も振らず、馬鹿のひとつ覚えで山登り一筋。
時々の風景と想いを切り取りブログにしました。

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