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山の音



守門岳の新緑の森
守門岳
霧に包まれた静寂の森、静かだからこそ聞こえる音がある。

アルプスを越える音
アルプスを越えて行く音は違う。
北アルプス立山一の越からの風景


都会の音、郊外の音、山の音 
私の自宅は都心に近い処にある。
ベランダからは首都高速道路が目の前に見えるし、その後ろには高層ビル群が建ち並ぶ環境にある。
だがそこは下町、すぐ近くにはかの岩崎弥太郎が作った清澄庭園、隣には広大な清澄公園。
さらに運河を埋め立てた公園が点在する。
つい先日までは蝉がしきりに鳴いていた。
そういえば蝉がもう鳴かなくなった、と思いながらの帰宅途中に、今日は虫の鳴き声が絶え間なく聞こえていた。
郊外の田園地区と違うのは、虫の鳴き声だけが響き渡るのではなく、
車や人の行き交う音、街灯やコンビニのネオンの電器音など、騒音と同居している事。
郊外とも違う山の自然には、静寂がある事だ。
耳の奥から頭の中にしーんと沁みこんで体が沈んで行くような無音の世界がふとやってくる。
そんな時は、星の輝く音や一面の雪が沈んでゆく音が、自分の内なる耳に聞こえたりするのだ。 

風の音が聞こえる
風の音が聞こえる、大木がざわめく音、風が音を演出している。
鴨川富士にて


万太郎谷
ドーンと胸打つ雪崩れ、自然の迫力。
谷川連峰万太郎谷にて


山と音楽 
最近環境が整って、山の行き帰りに音楽を聞くようになった。
日課のように聞くのは20年振りである。
楽譜が読めない私にとってクラシックは感覚的な楽しみである。
それは決して山と無縁ではない。
あらゆる音楽の場面が山にはある。
森、雲、水や花などの、見る自然。
喜び、怖れ、迷い、不安などの、感じる自分。
凜とした空気を裂いて一瞬煌めく燈赤の日の出の場面では確かに緩やかに、壮大なシンフォニー。
作曲家や曲名はここでは言うまい。
それこそ人それぞれの気持ちだから。
登攀の最中は劇的なものがいいと言った友は、風景と音楽をダブらせて感涙に浸っていた。
山を歩きながら周囲を包む音楽があったら素敵だ。
だが決して音を出してはいけない、自然の音の中にこそ音楽があるから。             


小谷温泉山田旅館
しんしんと降る、雪の音? 気持ちの中に降り積もる雪の音だ
信州小谷温泉山田旅館


白馬大雪渓
太陽の光も気持ちの中の音だろう
白馬大雪渓の午後。

谷川岳
風の支配する空間は、山では試練だ。


音の風景 
電気も水道もない郊外の土地に「アイノラ」を建てて、自然界の音だけに囲まれて後期の名作を次ぎ次と生み出したシベリウス。
民族音楽という枠から世界共通の音楽へと飛躍したのは、自然界の音こそが世界共通であったからに他ならない。
山登りこそ、その世界に一番近い。
文化や言葉には理解が難しい壁がある、自然の中から聞こえてくる音には未知故の不思議な世界があっても壁は存在しない。
森の中に入ったら静かに音を聞く、稜線では四方から飛んでくる音を聞く。
目で見る風景を楽しみ、目を閉じて聞く風景を刻む。
山で2つの風景を見てみたらどうだろう。
2つの風景が交差して山が違って見えたら、シベリウスのように、殻を破って行けるかも知れない。 

滝ノ音が聞こえる
滝ノ音、じっと見つめていると聞こえてくるではないか。

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自然の造形


山の音
 一人の山は静かだ、だあれもいない山の端で、ふと水辺の傍らに腰を下ろす。
一人だから話す相手もいない。
そんなときは自然の音を聴く。
耳に両手を当てて上流に向かって息を殺す。
BMGのような流れの音は次第に消えて源流の一滴の様が浮かんでくる。
下流に向かえば、滝の音が聞こえる。
木々を揺らしあたりを圧して漂うしぶきが匂いまでも運んでくる。
見上げて空に向かえば風が行き交い、鳥のさえずりが聞こえてくる。
腰を上げて立ち上がり、わずか1m程だけ高さを増すだけで音の様が変わる。
水音は確かに弱くなり周囲の草木のざわめきが飛び込んでくる。
山頂での360度の展望と言うけれど、耳に手を当てて北の方角に向ければ北の音が聞こえる。
そうして四方の音を聴いてみれば、実に楽しくて面白い。
山に何を求めるか、安らぎか、日々の慰めか、はたまた感動か、スポーツか、単なる遊びか。
求め方によって山は表情を変え、大きくも小さくもなる。
急登に喘ぎ辛さにめげて、やっと辿り着いた頂で風雪に叩かれ、意味を問う。
有るときは若さに悩み、歳を重ねれば老いに悩んでも、
この世で生きることに思いを馳せるならば、自ずと求めるもののありかが分かる。 


源流の音が聞こえる
源流の音が聞こえる。

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プロフィール

bunatoiwana69

Author:bunatoiwana69
山のソナタ集へようこそ!
19の時から山登りを始めて現在75歳。
東京の京橋に生まれ、都会に育ちながらも山の自然に憧れる。
脇目も振らず、馬鹿のひとつ覚えで山登り一筋。
時々の風景と想いを切り取りブログにしました。

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