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山の春

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守門岳大岳

春の兆し  越後の山から 
 あの時の空色を探して山登りを続けています。
記憶をたどりながらいつか通った山道を戻っているのです。
あれもこれもと夢中になって見続けた夢をまだ諦めてはいないのです。
置き忘れてしまった景色を探して再び山に分け入れば、知らぬ間に白黒写真の世界。見えないふりをして避けてきた風景の中を探していた風が通り過ぎてゆく。
今は春、これから芽吹く淡い命は幼子のように純白でまだ汚れを知らない。
これから始まる季節を山道が繋いで私は歩いて行く。
もう真冬の空気から解放された雪稜にマンサクの花が咲いていました。
華やかな色ではないが、雪と地肌の世界ではこれで充分なのでしょう。
どんよりとした曇り空がにわかに動いて、平地の遙か彼方から青空が差し込んできました。山はまだ暗く重い雲に覆われて春を押し返しているのです。
冬が嫌ではありません、春が好きでもありません、
私は季節の変わりゆく様が好きなのかもしれません。
自分も変わってゆけるような気がするのです。

1、山の春 (1)
金城山


春浅く 
春を感じるのに満開の桜はいらない、冷たい風に吹かれながら歩く雪稜で、確かに訪れる春を感じることが出来る。堅い木の芽や割れ目の走った雪面。足元ばかりを眺めていた自分が、ふと、遠くに目をやるとき、そうさせる何かに移りゆく自然のシグナルが聞こえる。氷のような雪に覆われていた山毛欅の幹が花より先に色づいてくる。かたくなな芽の中に花が見える。深い雪の下に小さな虫たちの息づかいが聞こえる。冬の山で自分だけが真っ先に感じる春をずっと大切にしてきた。満開の桜に人が春を満喫するとき、私の春はもう終わっている。        

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朝の高原


早春の山で 
春、芽吹く緑の山を極彩色に染まる錦秋の山と同じように美しいと思えるようになったのはいつのことであったろうか。枯れゆく秋の山にはない緑色の匂いを感じて立ち止まり、揺れる梢に言い知れぬ幸福感を味わったのはいつのことであったろうか。風は空にまで舞い上がり、壮大な広がりを一巡りして再び吹き戻ってくる谷間に私はいた。淡く濃く、薄く深く、波のようにうねってゆく緑一色の山肌に息をのんで感動したとき、四季の中の春という季節を知った。燃える秋と、萌える春に対比される寂しさと喜びを心に刻んで自分の生き方にめぐり逢えた、と思った。   


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 後立山を望む山里の春。

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岩山の春、 山急山


山の春 
桜がそろそろ散り始めた週末に東京を出る。東北道を北に向かえば、栃木の桜は今が満開。吾妻連峰の麓ではまだ梅が咲いている。そして山に入れば春は遠い豊富な残雪の中。前日の新雪がうっすらと被って、朝の雪面は凍ってさえいる。昨日までは寒かった、と思った風が和らぐと、桜が一斉に咲き始め、瞬く間に散り始める。冬から春に移りゆく里の季節は衝撃的と思えるほど早いが、山の春はもっと優しく緩やかに移ってゆくように思う。日に日に消えてゆく雪を追いかけるように、斜面にショウジョウバカマやキクザキイチゲ、イワウチワが地を這うように咲き始める。山には何時までも雪の傍らに春が残る。人はその春に、去りゆく季節をいとおしむ


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浅間山を望む4月の三国山

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鍋倉山の山毛欅林
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プロフィール

bunatoiwana69

Author:bunatoiwana69
山のソナタ集へようこそ!
19の時から山登りを始めて現在75歳。
東京の京橋に生まれ、都会に育ちながらも山の自然に憧れる。
脇目も振らず、馬鹿のひとつ覚えで山登り一筋。
時々の風景と想いを切り取りブログにしました。

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