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樹々の詩


北どぶ湿原 (2)
北どぶ湿原の山毛欅の木

白馬乗鞍の樹
広大な雪面に寄り添う木々達  白馬乗鞍


樹々の詩 
丸裸の斜面に伐採を免れた木が2本、すくっと立っていた。乾いた青空を泳ぐように葉の落ちた枝を揺すり、あたかも日溜まりを楽しむかのように。長い年月を経た重みが造形美を醸しだし、その風格に満ちた佇まいに仕事人は心打たれたに違いない。木々は移動することもなく、育った環境や周囲の出来事を宿命のように受け入れながら、何も言わずに前向きにただただ陽に向かって伸びようとする。成るように成るものを、どうして抱え込んで問題にしてしまうのかな。より良い環境を求めて場所を変えてゆく生き方は、賢く利にかなっているかもしれないが、気持ちの中にはいつも変わらぬ故郷が有るに違いない。いつもそこにいて旅人を迎えてくれる者がいる。大きな木はそこを行き交う者たちの支えなのかもしれない。        雅

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三ツ岩岳の樹と影

二岐山の樹
二岐山稜線の樹氷

安達太良山鉄山西尾根の樹氷
安達太良山鉄山西尾根の樹氷


巨樹 
巨樹に出会える喜びは、巨樹が過ごした数百年の月日の重みに触れられることだろうか。箱根山中にある、千年を越える山毛欅の木は、まるで生き仏のようであった。根古屋神社の大ケヤキは樹齢千年、樹脂で固められて植物人間のように人の手で生きながらえていた。先日、巨樹を訪ね歩いているという知り合いに誘われて、山梨県日影のトチノキを訪ねた。道路に標識があるだけで、民家の人に尋ねてやっと場所を見つけた。畑の道を辿った窪地に、それは立っていた。見下ろすだけで充分と思っていたが、何故か惹かれるように斜面を下り樹の前に吸い寄せられた。人の手が加えられていない樹は幾重にも枝を広げていたが、その一つの大きな枝が自分の重みに堪えかねずに折れて地に朽ちていた。ご神体やご神木だったら手当が施され、折れる前に固められ添え木され支えられるのだろう。折れた枝の根元は車の胴体ほどもある太さであった。樹が鬱蒼と覆い尽くしていた空間にぽっかりと穴が空いて、陽が差し込み新たな生命を育てるのだろう。樹の精を信じなければ理解できない空間、たかだか100年の人の寿命ではとうてい及ばない樹が過ごした長い年月に我が生涯の無情を思う。

龍ヶ岳のかつらの樹
龍ヶ岳のかつらの巨木

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生命の拠り所、蝉の抜け殻
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山毛欅の紅葉
 夏に枝を広げて葉で一杯の雨を取り込んだ山毛欅は、冬を前に全ての葉を落とす。一杯に広げた葉に雪が積もると、その重みに耐えられないからだ。葉を落とす作業は木々にとって体力を消耗する大切な営みである。雪が来る前に葉を落とせなかった老木は手をもがれるように枝を折られてゆく。折れた枝の修復は、又体力のいる作業なのである。余力を振り絞って折れた箇所に瘤を作り腐敗を防いでゆく。体力が尽きたとき、老木は朽ちてゆく。木枯らしが吹き始める初冬の森、まだ完全に葉を落とせない山毛欅の木を見ると立ち止まってしまう、寄り添って幹をさすってみる。自分の老いを木々にダブらせて、頑張れ、と声をかける。彩り豊かな秋の森で、老いの痛みが分かる歳になった。   


田代山の樹
田代山の樹

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越後の紅葉


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プロフィール

bunatoiwana69

Author:bunatoiwana69
山のソナタ集へようこそ!
19の時から山登りを始めて現在75歳。
東京の京橋に生まれ、都会に育ちながらも山の自然に憧れる。
脇目も振らず、馬鹿のひとつ覚えで山登り一筋。
時々の風景と想いを切り取りブログにしました。

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