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秋の尾根道



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袈裟丸山の尾根筋その1


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袈裟丸山の尾根筋その2


秋 
一生を1年にたとえると、私は今、秋の季節にさしかかっているのだろうか。そう思って秋を眺めてみれば、冬に向かう寂しい季節に思えてくる。春や夏に山を歩いている時はあまり後ろを振り返らないような気がする。道は前だけに伸びている。ましてや来た道を戻ろうなんて考えないものだ。だがどうだろう、秋は日の短さもある、雨の冷たさもある、なぜか来た道を振り返るようになる。曲がり角で風景が変わるたびに心が躍り、彩りに感嘆しながら、これほど山を眺める季節はない。春や夏は山に遊びに行く、だが秋は山に暮らしに行く。華やかな色、実りの森、冬こそ豊かに過ごすために、さしかかった自分の秋を大切にしたい。  


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奥久慈男体山にて

紅葉の山 
若い頃、たまには素晴らしい紅葉に出会うことがあっても、見頃の紅葉を目当てに山行を組むことはなかった。季節よりも、その時々の内に秘めた思いが大切であった。長い間に山の風景が染みついてきて、やがて自分の山登りが季節と無縁でないことに気が付くのである。まだ汗ばむ日が時折ある頃、3000㍍の稜線で地に這い蹲ったようなウラシマツツジが真っ赤に色づく。足元に広がる濃赤や黄金の単一色のジュータンは登山者にしか見ることの出来ない天上の風景である。一段下の木々が色づき始めると紅葉が目当ての人々が山を目指すが、まだまだ登山口では緑一色の季節である。ダケカンバや山毛欅の紅葉が始まると山では秋たけなわである。標高の高い山では徐々に紅葉が里に下りてくるが、越後や会津の低山では、民家の軒先まで一気に押し寄せるように全山が赤く染まる。去りゆく季節を惜しむのではなく、今の季節の中に進んで身を置き、移りゆく変化が織りなす緊張感と遊び心を享受することは、笑いと語らいの耐えない生き方と無縁ではない。 

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袈裟丸山郡界尾根その1

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袈裟丸山郡界尾根その2

秋の桜並木 
私の家からは運河沿いに続く桜並木が見える。毎朝その並木を眺めながら、ふと気がついたことがある。春一番に花をつける桜は、秋一番に色づき始める。その向こうには清澄庭園の緑の林がこんもりと続いている。その林の季節とは違った色の移り変わりが運河沿いにはある。毎年同じように季節を告げてくれる木が、時には癒しとなる。木々はその場を動くことが出来ない、様々な環境の変化も気候の変動にも、じっと耐えて享受し、物も言わずに、ただただ陽に向かって成長しようとする。そんな変わり身の出来ない不器用な生き方が、私の生き方とも重なってくる。今年も少しだけ色づき始め、そろそろ山は初雪の季節だ、それを伝えてくれる。 

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奥久慈北岩稜入道岩と紅葉

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奥久慈北岩稜尾根筋

秋色
 秋の登山道は色模様のカーテン。息を切らせて足元から見上げれば極楽浄土の曼荼羅のよう。自分の存在はいらない、足跡も記録も趣味も独りよがりになるから。人の記憶の中にこそ残れば幸せ。秋の夕陽に追われて振り返れば、彼方の空の色。空の色は地上を染めてゆく、山上の池塘も山里の川も海も手のひらですくった小さな溜まりも、鏡のように、みんな秋を写して空の色。秋こそ透明な空気に色が冴えてゆく。人は気持ちを表現するのに声色を変える。声色は無限で、感情を具現化する。木々は色でそれを伝えているように想う。冬を迎える木々の必死な姿が私には見える。若い人たちと技巧やメカニックな面を比べたら私なんかは足元にも及ばない。古希を過ぎて、おぼつかない足をいたわりながら尚山登りを探求しているのは、四季折々千差万別な姿を見せてくれる自然と対峙する精神の世界であり、人と共に歩く道である。 


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田代山オクラ沢右岸の紅葉その1

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田代山オクラ沢右岸の紅葉その2


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プロフィール

bunatoiwana69

Author:bunatoiwana69
山のソナタ集へようこそ!
19の時から山登りを始めて現在75歳。
東京の京橋に生まれ、都会に育ちながらも山の自然に憧れる。
脇目も振らず、馬鹿のひとつ覚えで山登り一筋。
時々の風景と想いを切り取りブログにしました。

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