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アツモリソウの自然 櫛形山

アツモリソウの自然    櫛形山

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決して華やかな登山道ではない。
時折朽ちた大木が室を作り、
これも長い時の流れを感じさせる
サルオガセが樹木を被い、たわわに垂れ下がる。
地面は柔らかく決して乾くことがない。
山道を歩きながら
そんな深い自然の年輪に触れるとき、
自分の存在が楽しく感じられる。
 そんな芳醇な自然だからこそ、
その一角に夢と見間違える仙郷の地がある。
南アルプスを眺めるその草地には
アツモリソウとアヤメが群生し、
吹く風さえも甘い。
アツモリソウの赤紫の喉袋のような特異な姿に
わたしは植物が織りなす造形の深さに畏敬の念を感じる。
花達はただ咲いているのではない。
自分たちが咲き誇れる環境を示し、
大地に代わってその豊かさを
より華やかな姿で示しているのだと思う。



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 あれから幾年月、
アツモリソウとアヤメの咲いていた草地を
盗掘防止のために柵が囲い、
それなのにアツモリソウはもうないと聞く。
自然はそうして何気なく我々の前から去ってゆく。
我々が失ったのは蘭科の珍しい植物ではない。
それはひとつの山の死であり、豊かな大地の喪失である。

われわれは自然の喪失を嘆く、
誰のために嘆くのだろう、
誰のために残して置くべきなのだろう。
自分の楽しみのため、
もう見ることの出来ない自分の嘆き。
それは我々を引き継ぎ次の世を生きてゆく
子供達の為なのではないか。
子供を慈しむことと、
自然環境に思いを馳せることが重なり合う時、
自分さえ良ければと言う
誰にも責められない、とかく利己的なものへの挑戦となる。


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花のなくなった草原の背後には
人間の愚かさを笑い
全てを見ていて何も語らない
白根三山がずっと変わらずに聳えている。
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プロフィール

bunatoiwana69

Author:bunatoiwana69
山のソナタ集へようこそ!
19の時から山登りを始めて現在75歳。
東京の京橋に生まれ、都会に育ちながらも山の自然に憧れる。
脇目も振らず、馬鹿のひとつ覚えで山登り一筋。
時々の風景と想いを切り取りブログにしました。

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