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新緑の山

新緑の中で 
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冬から春への2つの季節の中で、
実は幾つもの色が移り行く。
雪の白、雪が解けた後の土の色、一斉に咲く桃や桜の里の花、そして新緑。
その時々をただ一色に染まりながら移りゆく季節は、
その後は色とりどりの世界に移ってゆく。
春と初夏の狭間で、風までがみどり色に吹き渡る山毛欅の森は、
見る以上に感じる匂いと肌の感触。
秋には色彩豊かに森を染めてゆく、
形も大きさも性格も違う木々の葉が、
どうして初夏は緑一色の新緑なのだろうか。
森の中で、陽を受け、風に打たれ、雨に濡れ、
同じように成長しながら、しかし、秋にそれぞれの思いを、
一生の最後として自分の色で鮮やかに主張するのだろうか。

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阿武隈山塊 夫婦岩

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奥会津道行沢

新緑の谷間
 穏やかな谷間の春は、
曲がり角の所々に霧の立ちこめた雪渓を残している。
雪渓を潜ったり乗り越えたり、毎年繰り返される春だ。
雪が消えたばかりの斜面には朽ちた草がへばりついて、汚れた過去を忘れようとしている。
谷間の一番底に近いむき出しの土の斜面は、
雪の重みを最後まで耐え続けて、疲れ果てて沈んでいる。
斜面の上には雪の重みで大きく撓った疎らな灌木が赤い芽を付けて陽射しを待っている。
その上には次第に密になった木々が淡いみどり色の葉を蕾のように重ねて、
まだ冷たい谷間の風に身を縮めている。
時たま見上げる空には既に大きく葉を広げた山毛欅の大木が覆い被さるように陽を受け止めている。
ふと見渡せば、谷間はみどり色だけの世界、
新緑は笑顔に満ちている。

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新緑の谷間

 谷間をひたひたと歩き、
むせるような緑色の匂いが辺りを覆い、
流れる水までが緑色に染まり、
葉を透けて通ってきた陽にキラキラと輝いて魅了する。
多彩な新芽が梅雨の頃に緑色だけになる。
蝉時雨は夏の季語だが、
山全体に響き渡るのは梅雨の時期の春ゼミこそふさわしい。
又、この時期こそ山の生き物は恋愛から子育ての季節。
山全体が活気に満ちて訪れる者を迎えてくれる。
希望に満ちた季節、それを感じるようになったのは、
景色ではなく、山の佇まいではなく、吹き渡る風や匂いや形のない自然そのものだ。
時間に追われていては分からない世界、
雪山を至高の世界と思い、
ゴルジュや滝しか見えなかった自分を嘆き、
新緑の素晴らしさに目覚めた。 

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山桜が咲く頃の山は多彩である。
黄蘗色や浅紫色、伽羅色の木の芽であったり、
紅樺色や萌黄色や薄青やアップルグリーンの若葉であったりする。
極彩色の紅葉と違うのは、
命を燃やすのではなく、命が萌えいずるパステルの泡のような色だからである。
決て山桜の薄桜色より目立ってはいけないのである。
様々な生まれの色は、
だけど全てが、みどり色に染まってゆく。
生き物が一年で一番安らげる季節、
生命を育み、子育てに勤しむ芳醇な気候。
自然がみどり色に染まる、
それが新緑の頃なのである。
風も陽射しも水も土も、人も若草色になる。

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足尾の尾根筋;   仁田元沢左岸の尾根は動と静、荒と穏、足尾の多面性を見事に映し出した素晴らしい所。

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房総千枚田の初夏。 四季折々、違った姿を見せる千枚田。
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bunatoiwana69

Author:bunatoiwana69
山のソナタ集へようこそ!
19の時から山登りを始めて現在75歳。
東京の京橋に生まれ、都会に育ちながらも山の自然に憧れる。
脇目も振らず、馬鹿のひとつ覚えで山登り一筋。
時々の風景と想いを切り取りブログにしました。

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