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坊がつる賛歌 九重連山

坊がつる賛歌 九重連山

人の歩いたぬかるみの足跡や
誰もいないザレ地のケルン。
ザワザワと鳴る枯れ草の群れ。
そして、砂礫帯をビュービューと吹く風の音。
そんな寂しさの中でも、山の形に耳を傾けて、
自然の成り行きに自分を任せてゆくような、
そんな山登りが出来るようになった。

坊がつるの片隅の谷間の入口、
法華院温泉の伽藍とした部屋にザックを置いて山日記をめくる。
星や月、木々の音や色、
全ての物が実際は違った形や音であったとしても
人が思う気持ちは変形のしようがない。
何かを思い続ける自分だけは確かにここにある。
失いかけた自分の存在感をそうして取り戻せるのはこんな時の山。

身に染みた冷たさの九重の風を暖めるように
湯舟にひとり体を沈めてみれば湯気に酔う。
 九重を去る日、最後の峠で大船山を心に刻み
覚えたての坊がつる賛歌を口ずさむ。
山には山の歌がある、
どうしても歌わずにはいられない時がある。
綴った想いのひとつひとつが一小節毎に蘇ってくる。
又いつ会えるかも知れぬ程、わたしにとっては遠い山々。
薄い靄のような想い出の中で
三月の九重連山はまだ冬の風であった。

「人皆花に酔う時も、残雪恋し山に入り、涙を流す山男、雪解の水に春を知る。
ミヤマキリシマ咲き誇り、山くれないに大船の峰を仰ぎて山男、花の情けを知るものぞ」
「坊がつる賛歌」

大船と坊がツル
坊がつると大船山













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プロフィール

bunatoiwana69

Author:bunatoiwana69
山のソナタ集へようこそ!
19の時から山登りを始めて現在75歳。
東京の京橋に生まれ、都会に育ちながらも山の自然に憧れる。
脇目も振らず、馬鹿のひとつ覚えで山登り一筋。
時々の風景と想いを切り取りブログにしました。

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