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秋色の山


秋色の山
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両神山赤岩尾根の錦秋

 紅葉
 今年は何処で紅葉を見ようか、秋が近くなるとそんな思いで満たされる。
印象深い紅葉に出会うと一年の思いが成就したような気になる。
だがどうして春に新緑の緑で、
冬を迎える秋に燃えるような赤や黄色なのだろうか。
燃え尽きながら輝くことで木々は寒く暗い冬を迎える全ての生き物に励ましのメッセージを伝えているのだろうか。
 紅葉の素晴らしさを、その場にいない仲間になんと伝えようか。
わたしはいつもそんな風に自分の感動を人に伝えたいと思う。
季節が移り変わる時、自然は色を変える。
自然を手本に人は色を学んできた。
自然に存在する色を手に入れようと人は模索してきた。
自然な色彩を語る言葉は無力で嘘つきだけど、輝く山上で、
それを眺める自分も同じように輝いていれば、
それは自ずと伝わるのではないか。

  
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安達太良山烏沢左俣源頭の秋

安達太良山の秋に 
赤、朱、橙赤、えんじ、黄、黄緑、安達太良山の色彩の秋である。山から紅葉の便りが届くと、もういてもたっても居られない。上越越後の秋に魅了された頃は、山に向かって強がりも言えた。谷間に迫る赤い山襞に自分のたぎる血を見た。歳と共に山毛欅の淡い色に心の拠り所を求めるようになった。葉の色よりも木々に寄り添い木肌に秋を感じるようになった。奥行きのある秋、広がりの秋、箱庭のように整然とした秋、荒れた秋。思い出を辿ればそれがまさしく自分の人生と重なる。技術を駆使して危険に立ち向かい、精神を鼓舞して困難を克服する場面がめっきり少なくなった。大怪我をする前に引き際を考えるように、と先人の言葉が身に滲みる。安達太良山で今秋初めての紅葉に出会い、まだ山を駆け巡る自分の姿を夢見ている。仲間がいてこそ、それを忘れたことはない。 

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秋の沢を俯瞰する。

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安達太良山の登山道

 秋へ
凍てつく冬に向かう秋は、
自然にとって淋しい季節である筈なのに空は高く澄んで青さを増し、
山は錦繍に彩られ華やかである。
尾根には乾いた風が吹き渡り清々しさに溢れている。
草木は実を付け、たおやかに豊かである。
一人物思いに耽り感傷に浸る秋は自然の中にはない。
人の一年を一生涯として秋に燃え尽きる木々の葉を美しいと思う。


カンマンボロンと入れ替わっている
上州角落山

 草紅葉
それは山上の草地から始まる。
まだ夏を思わせる下界の暑さの中で、気づく事のない季節の歩みである。
褐色に染まる草紅葉はやがて来る初霜への大地の備えである。
根や実を蓄えながら秋の風を感じているのだろうか。
笹原に囲まれた草地に立つと足元に妙な落ち着きを感じる。
これから数ヶ月をかけて次第に山は白一色の世界になる。
秋に自然は一年の全てを極彩色に描き尽くしてキャンバスを真白にする。

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田代山の草紅葉

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ウラシマツツジの紅葉   中央アルプスの稜線にて

秋の谷の風景 
等高線の広がった穏やかな地形の中を、間近な源流から湧き出た鮮烈な水が岩盤を慈しむように流れ、広々とした谷を黄褐色に染まった林が囲んでいた。陽に照らされると、まるで谷全体が黄金のような輝きを放ち、浄土の風景に変えてしまう。足元の細い流れの中にも、冬に向かう気配を感じながら、この季節の営みにいそしむ岩魚が悠々と体をくねらせ流れを捉えている。人は季節を追いかけて行くが、自然の中の生き物は季節を迎える。その違いはその場所を唯一の世界として命をつなぎ、移ろう季節を運命と捉えるか否かであろうか。遠い尾根からの風が程よく林に吹き渡ると、ひらりはらりと踊りながら谷一面に落ち葉が舞う。木々の冬支度は雪の季節を知らせ自然の細やかな情景を水面(みなも)に移してゆく。このひと時にめぐり合えた時間を大切にしたい。 
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沢の源頭の静かな秋



錦秋の谷間 
10月、岩を彩る木々の競演に私の秋を感じるために、いそいそと上越、越後を目指す。
広がりの秋もある、奥行きのある秋もある、整った庭のような秋もある。
混じりけのないただ一色の秋もある。
私の引き出しには山に向かった数十年間のいろいろな秋が詰まっている。
思い出を辿れば、それは圧倒的に上越、越後の秋が多い。
こんな色の秋があった、と劇的といえる風景に我を忘れた八海山も越後であった。
今年もそうして越後を目指した。そのための仲間がいたから秋がある。
それをひとときも忘れたことはない。又一つエピソードに彩られた特上の引き出しが増えた。

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越後三国川日向沢の下山道で。

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中央アルプス中小川飛龍の滝


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落ち葉となって彩る秋








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プロフィール

bunatoiwana69

Author:bunatoiwana69
山のソナタ集へようこそ!
19の時から山登りを始めて現在75歳。
東京の京橋に生まれ、都会に育ちながらも山の自然に憧れる。
脇目も振らず、馬鹿のひとつ覚えで山登り一筋。
時々の風景と想いを切り取りブログにしました。

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