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羊歯の緑に魅せられて

羊歯の緑に魅せられて
羊歯 (1)

沢筋に名残の雪を見つける頃、
様々な色彩の新芽はそろそろと開きながら次第に緑色に並んで行く。
様々な色で錦繍の織物を編んで行く秋とは違って、
緑一色に山肌を染める。
仰ぎ見る谷間を埋め尽くした新緑のむせるような匂いは、
確かに車で山に分け入ってドアを開けた瞬間に感じる自然の匂いだ。
匂いのない紅葉の山の、
音と視覚の風景にはない息吹を感じる。


羊歯 (2)

今年はどんな紅葉を、そんな思いは新緑の山にはない。
それはその季節に山に入れば、
どこにでも草は有り、木々は有り、新緑なのである。
杉に被われた山の中、
空は塞ぎ陽はかすかに影を落とす、
そんな足下に羊歯や地を這う草たちが鮮やかな透明感で緑を装う。
暗い林の地べたを、草の内から萌えて輝く青葉。
何度も見ていて何の思いも巡らせなかった変哲もない佇まい。


羊歯 (3)

歳を取らなければ分からなかった羊歯や下草の新緑に心打たれる。
歳を取ることで、ありふれた風景に新しい価値観を生み感動できるなら、
もう少し生きてみようかな。
 

羊歯 (4)

玉原越え 
人の行き交う玉原高原からの道と分かれ、
玉原越えから藤原へ下り始めた。
静かな沢沿いの林の中を辿る道は、
長い薮の沢を歩いてきた体には優しすぎる柔らかな道であった。
ふと気が付くと私を囲む山肌がシダの新緑に埋もれていた。
暗いはずの樹林の地肌が鮮やかな緑色に染まって、
所々に樹木の葉を通した木漏れ日が照明のように当たっていた。


羊歯 (5)

たった今、
一斉に葉を広げたような瑞々しいシダの全てが同じ方向を差していた。あたかも山肌を被う緑色の鱗のような光景であった。
下草のシダの美しさに感動し、
シダまでが新緑の主役である事に自然の奥深い魅力を知った。


羊歯 (6)

梅雨の最中である、
晴れ間を狙った初めての谷、
初めての道で又新しい発見をした。
それが凄く嬉しい一日であった。
ゆっくり年を取れば
自然は見捨てず育ててくれる。


羊歯 (8)


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プロフィール

bunatoiwana69

Author:bunatoiwana69
山のソナタ集へようこそ!
19の時から山登りを始めて現在75歳。
東京の京橋に生まれ、都会に育ちながらも山の自然に憧れる。
脇目も振らず、馬鹿のひとつ覚えで山登り一筋。
時々の風景と想いを切り取りブログにしました。

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