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北アルプス朝日岳


朝日岳(北アルプス)     星空に寄せて

朝日岳ガッシュ
当時を思い出させるキスリングを背負ってイブリ尾根を行く。

 時間が有り余っていた頃はやたら大きな荷物を担いで時間をかけて山を歩いた。
大きな荷物がひとつの勲章であるかのような妙な誇りがあって、ひとつひとつの山登りがボッカ訓練であった。
そのくせ山の中では精一杯苦しんで疲れ果てた。
 北アルプスの北部、イブリ尾根から目指した朝日岳の山懐で
遙か彼方の天幕地を眺めながら湿原台地を泊まり場と決めた時には既に夕暮れが迫っていた。
花に彩られた別天地を確かめる間もなく最後の赤味が西の空を染めてやがて夕闇となる。
ひととき、仲間達はそれぞれの場所でそれぞれの思いを巡らす。
どんなに陽気に騒いでも知らぬ間に深い静寂に包まれる。
そして、空にはもの凄い星。  

この深い空間に立ち尽くした有様をなんと表現したらよいのだろう。  
本当にこんな世界があったなんて。
大地の冷たさを背中で感じ、大気の冷たさを頬で感じ、
それじゃあその間でそれを感じている私は何だろう。
捉えようもない自分が確かにその間で存在している。
存在感を失っては憂鬱になっていた貧しい時代にそれは喜び。
「はたち」なんて言っていた時代に真剣に考えた事が歳を重ねると共に
そんなことも考えなくなり、別に答えが出たわけでも無いのに当たり前
に暮らして、人はずるさを覚えて生きることにしたたかになる。
それが人の知恵というものなのだろうか。

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蓮華温泉から朝日岳の稜線を望む

 広大無辺、永劫長久
言葉では色々形容の仕方があるが本当の星空を仰いで天空を埋め尽くさんばかりの星の多さと闇の深さに立ちつくして見なければ分からないことがある。
自分だけの事やその周りの環境や家庭や社会の事だけを考えていては結論のでないことがある。
無心になって星空の彼方に思いを巡らせば、
どうしても人の知恵では理解できない空間と捕らえようもない果ての世界の存在を感じる事が出来る.
山深く縦走路の片隅で本当の星空を仰ぎ見て宇宙という
素晴らしい言葉の意味を知り、宇宙の中の自分の存在を実感し、
その中に身を置いて考えるようになってから、
私は自分の生き方に迷わなくなったような気がする。

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雪倉岳と朝日岳はいつもセットで眺める。
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白馬大池からの朝日岳
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朝日岳全景
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bunatoiwana69

Author:bunatoiwana69
山のソナタ集へようこそ!
19の時から山登りを始めて現在75歳。
東京の京橋に生まれ、都会に育ちながらも山の自然に憧れる。
脇目も振らず、馬鹿のひとつ覚えで山登り一筋。
時々の風景と想いを切り取りブログにしました。

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