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見果てぬ夢を二人で


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大雪山旭岳にて

一期一会の山 

肺を病んで酸素ボンベなしでは歩けなくなったかみさんと山に行く。急な登りになると私の歩くペースの10分の1程度の歩みになる。私もそれに合わせて一歩一歩踏みしめるように歩いてみる。何の変哲もない山道を、それこそ足元の草木の1本1本を食い入るように眺めながら、何かを見つけようとして。もう再び歩くことのない山道、と心に決めて慈しむように気持ちのたけをこめて踏みしめる。1歳や2歳時の子供と歩いた時も、こんな山登りはしたことがない。俄かにあたりが暗くなり雷雨に突然見舞われても、だからと言って歩みが速くなるわけではない、あわてず平然と雷雨を迎え、状況を見る。それ以上はどうにもならない状況を受け入れると、今までには感じられなかったゆとりが生まれる。非常時にこんなゆとりを山で感じたことはない。そうした中で今まで感じえなかった山がひしと、伝わってくる。誰にも負けない山登りだ、そう思っている。 

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水仙の季節には毎年房総へ、お気に入りの日向畑

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初夏にはニッコウキスゲを見に各地へ、 野反湖からかもしか平へ

 山を歩いていると、ふと、この風景にはもう会えないかも知れない、と思うことがある。遠い地域や、1度だけ登っておきたい山であったり。この山道を再び歩くことはないだろうと思ったとき、ただ、ありふれた木立に囲まれた道が、無性にいとおしくなる。まだ2~30年は山登りを続ける気ではいるのだが。大展望やお花畑の華やかな風景は写真や記憶に残る。だが、山の大部分は何の変哲もない忘れ去られてゆく風景である。歳を重ね、いつかきっと本当にもう会えないかも知れないと思いながら山を歩くときが来るのだろうか。木々や草、踏みしめる土にまで、一歩一歩が惜別の山道であるに違いない。そんな登り方をされたら、どんな山登りもかなわないな。  
数十年前にしたためたこんな文章が現実になってしまった。
想いがあったからこそ、素直に受け入れられたのかもしれない。
山を普通に歩き続けることの難しさと、喜びと。


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奥久慈は手頃なハイクが楽しめる山が沢山。鷲の巣山から

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6月はツツジを見に、高原山八方ヶ原は見事、そこから剣が峰へ。関東平野が広がる展望は素晴らしい。

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ツツジと言えば湯ノ丸山、我が家の定番。

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大好きな霧ヶ峰は空が広い、ツツジ、ニッコウキスゲ、高山植物、スズランの群生地は2人の秘密

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スズラン

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踊り場湿原、八島湿原は何度も出かけた。

「まだ夢の中」 
薄紫色の小さなつぼみに水滴がひとつ。
雨でもなのに、どこから・・・・。
ちょっとした風でも、人の足音でも、
どちらかにこぼれ落ちてゆきそう。
でも踏ん張って、キラキラ輝いて、
秋空を映して碧い宝石。
思い出を辿れば、
いつもこんな水滴のように危うい体で、一生懸命だったけれど。
儚い命を削って、
全てが夢のようだったけれど、
それでもいろいろな世界を二人で精一杯描いて、
山を歩き、旅をして、人との出会いを喜びとして、
短かったけれど、
充ち満ちて、楽しかったよ。
ありがとう。
21年間の闘病を終えて 2017.10.6妻逝く


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正月は決まって八甲田山、10年間の思い出は尽きない。ラッセルを頑張る。

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吹雪を避けて、樹氷の室で休む。

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横岳の樹氷を行く

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田茂萢岳の樹氷群

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遠く岩木山を望む。

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前岳からの滑降。





 自転車を走らせていたら、地面に吹き溜まっていた桜の花びらが、私を包み込むように舞い上がり、ひととき別の世界に誘ってくれた。運河には花筏を作り、散って尚美しく漂いながら流れて行く。何を思いだしたのだろう、散っていった人を思い出したのだろうか、単なる日常の場面なのに、こみ上げる熱いモノを感じた。余命のない病を押して台所に立っていた母の後ろ姿、立つのが辛い時も、仕事に山に出かける私を必ず玄関で「行ってらっしゃい」と送ってくれた妻の精一杯の笑顔。母を亡くし、妻を亡くし、友も亡くした。長く生きればそれだけ思い出も溜まり、様々な場面で蘇ってくる。病や仕事、周囲の辛い出来事や、自分に降りかかった多くの事が胸を締め付ける。音楽を聴いて、泣く。風景を見て泣いてしまう。そんなことあり得るの、以前はそんな風に思っていたかも知れない。涙は、辛くても楽しくても、沢山の思いを抱きながら時々を精一杯生きてきたことの証なのかも知れない。 

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房総の渓谷は冬の定番、犬岩を目指して。
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プロフィール

bunatoiwana69

Author:bunatoiwana69
山のソナタ集へようこそ!
19の時から山登りを始めて現在75歳。
東京の京橋に生まれ、都会に育ちながらも山の自然に憧れる。
脇目も振らず、馬鹿のひとつ覚えで山登り一筋。
時々の風景と想いを切り取りブログにしました。

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