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冬の日

冬の日
冬の日

ある冬の日に
 雪の眩しさに目を細めると、
山の白さに映えて空は一層蒼く濃く、
だが透明だ。
梢の先までくっきりと雪面に刻まれた影は、
焼き物の絵付けのように艶やかで動かない。
風はまるで生き物のように自在に動き回り、
尾根を吹き抜けて
左右の谷に流れて行く。
私はその中心に立って
全てを見届ける。
特別な景色ではない、
好天に恵まれた厳冬のひととき、
ただ真っ白な尾根を
風が吹き抜けただけ。
狭霧が凍って、
草木や岩に霜が降りる。
そんな中でも鳥は歌い、
人は畑に出る。
梢の上で、しきりに、
だみ声を響かせるオナガドリは何を叫んでいるのだろう。
雲は低く垂れ込めて、
時雨がやがて雪になる。
時折見せる小春日和は北風に吹かれて弱々しい。
冬の何気ない風景である。
たとえば冬の歌は沢山あるけれど、
ただ情景を描いただけの歌はない。
必ず、愛や別れやさみしさや・・・
人の情念が綴られている。
だからこそ、
心にわだかまりがなければ、
そんなありふれた風景の中でも
幸せに過ごせる。 

冬の日 (2)
山里の冬の朝

冬の日 (3)
雪模様

冬の日、山で
 突然雲が割れて覗いた青空に思わず広げた両手。
まだ止みきれない粉雪が辺りを包む。
凍てつく指先を手袋の中でこすりながら、
寒さではなく信じることに耐えている。
冬の風に吹かれながら梢を行き交う鳥は
季節がどんなに表情を変えても頷いて受け入れる。
花の咲かない雪国の冬に、
ひたすら雪の下で待ち続ける花が、
あんなに綺麗な色で春を着飾るのは雪の重さだけ色を増すから。
だから雪よ降り止むな、
過酷な冬山の中で全てを凍てつかせて遙かな地平に吹き抜けて行け。
押したりひねったり、
ただそれだけで様々なものが動き始める。
それが文明だけど普段どんなに便利に暮らしているかは、
山を歩いた日に分かる。
文明はイコール文化ではないんだ。
山に電気ガス水道はないが、
光と風と水、そして何よりも命に囲まれている。
飼われた命ではなくて、自立した命に囲まれれば、
深く人を愛することが出来る。
座る場所とて思案し、
立ち止まれば瞬く間に冷えが襲う厳冬の山で、
暖かさの意味を知る。

冬の日 (2)
沼のほとりにて

冬の日 (1)
北八ヶ岳厳冬
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プロフィール

bunatoiwana69

Author:bunatoiwana69
山のソナタ集へようこそ!
19の時から山登りを始めて現在75歳。
東京の京橋に生まれ、都会に育ちながらも山の自然に憧れる。
脇目も振らず、馬鹿のひとつ覚えで山登り一筋。
時々の風景と想いを切り取りブログにしました。

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